稀に過去に撮った動画を引っ張り出さないといけないことがある。
仕事で頼まれることもあれば、過去の映像を自分で使いたい時などがそれにあたる。
撮影した大量のデータを他の人はどうやって管理しているか知らないが、自分はHDDで溜め込んでいる。
現在バックアップ用のHDDは46個目になり、ダブルバックアップしてるので、計92個ある。

各HDDには番号を振っており、中身はスプレッドシートで管理し、照らし合わせれば中のデータがわかるようにしている。
それでも「日付」と「場所」はわかるものの、中に入っている各動画ファイルの内容まではわからない。
ピンポイントで「あの動画を探したい」と思っても、該当のHDDを裸族のお立ち台に挿し、全てのファイルを確認しないと探せない。
これが写真だったら、ビューワーでスクロールしながら探せるが、動画は実際に開かないとわからないものだ。
もちろん、馬鹿正直に等倍で再生することはないが、100を超える動画ファイルを開いてはシークバーを移動して消す、そんなことをやってると時間もかかるし、とてもしんどい。
いつかこの問題を解決しないといけないと思っていた矢先に、Mac Pro(黒ゴミ箱)時代からずっと使っていた相棒のRAIDストレージがついにバースト。
早急にストレージについて考え直さないといけない日が来てしまった。
やはり、日に日に物理HDDが増えていくのは正直鬱陶しい。
このまま歳を取れば、大量の本が積み上げられたおじいさんの書斎のように、HDDが散乱した部屋で生き続ける未来もよぎる。
嫁(いれば)に「あんた、どうせ見返さないんだからHDDを早く処分して!」なんて小言で言われ続ける日々も容易に想像できる。
そんなことを考えているとやはり最初に思い浮かぶのは、クラウドストレージサービスへの移行だ。
どこからでもアクセスできて、毎回お立ち台に繋がなくても内容を確認できるクラウドはとても魅力的だ。
実は10年くらい前にAmazonドライブがサービス開始当初に使っていたのだが、目玉は容量無制限だった。
いくらアップしても定額(確か月額1000円くらい)だったので、毎日せこせこアップロードしてたわけだ。
しかし、「1%の会員が99%のストレージが使っている」現状に痺れを切らし、従量課金に変わってしまった。
確か20TB以上はアップしてたので、上位1%にはいれてもらえていたことと思う。
一応、改定後の従量課金の値段を見てみたが、なんと月額45万円!
そんな金額払えるわけもないので、その日からバックアップデータ20TBを期限までにダウンロードしないといけないという地獄の日々が始まった。
これ以来、クラウドストレージは便利な部分も多いが、僕にとってはデメリットが多いので敬遠している。
今回の件で現状のクラウドストレージを調べてみた。
10年前と比べ安くはなってきているものの、概算総データ量200TBを個人へ提供しているサービスはない。
あるにはあるのだが、定額無制限という夢のようなサービスは存在せず、無制限=従量課金となっている。

試しに計算してみたが、クラウドストレージ検索上位のFleekdriveで200TBを確保するには月180万円、法人向けのAWSの450TBプランでも月66万円(4400ドル)となっている。
とてもじゃないが、こんな金額を毎月払えるわけもないので、ボツとなった。
結果として、物理HDDこそがコスパ最強となり、現状維持で落ち着いた。

それでも昔撮った動画を簡単に見返す方法はないかと色々検討した結果、「全動画ファイルをエンコードしてMacの写真アプリで管理する」という結論に至った。
FHDだろうと8Kだろうと全てSD画質までエンコード。
これであれば、かなり容量は抑えられるし、画質も思っているほど悪くなく、ファイルの中身を確認する分には全く問題ない。
日付はエンコードした日になってしまうのが難点だが、アルバムでの管理ができるので、パッと見返すことが可能になる。
ちょうどRAIDがバーストして、写真アプリに入っている数万の写真データが全て消えたところだったので、再出発はこれでよかったと言えよう。

そして始まったエンコードの旅。
いざ繋いでみると、変な拡張子で開けないものや、ご無沙汰の害悪規格AVCHDなど、ここ20年の動画規格を辿っているような気分になった。
現時点で多分6割くらいが終わっているが、動画ファイル数はなんと25,000!
容量はエンコードしているのに、800GBもある。
1分が35MBくらいなので、単純計算で380時間もあることになる。
仕事のファイルはエンコードしていないので、自分のプライベートだけでこの量になるわけだ。
内容はというと、懐かしい気持ちもあるが、恥ずかしくて直視できない動画が多いのが事実。
そして、今は疎遠となった友人たちもたくさん映っている。
「今は何してるんだろう」、「元気にやってるのかな」などと想いを馳せるのだが、改まって連絡する気にはどうしてもならない。
「仕事を頼みたい」など要件が明確であれば、警戒されないだろうが、「なんとなく会おう」みたいな連絡は怪しさ満点。
大体はマルチか宗教の勧誘だし、異性であれば下心も警戒される。
逆に自分でもそいうことがあれば、同じことを思うだろう。
結果、少々寂しいが思い出の中だけで取っておこうという結論に行き着いてしまった。
この一件で「HDDどうする問題」から「疎遠な友人問題」までスピーディーに駆け巡ったわけだが、現状維持で何も変えない選択をした。
それでもHDDは増えていく。
やはり、僕の行き着く先は書斎でHDDに囲まれる未来なのかもしれない。
