REDと共にあらんことを。

REDを使っていると、白い筐体に憧れる。

発売前の新作REDが関係者に配られるのが、決まってこの“ストームトルーパー”と呼ばれる白いモデル。
スターウォーズシリーズお馴染みの白い帝国軍兵士に由来しているのだが、通常の黒モデルがダースベーダーとは呼ばれているかと言うと、そうではない。
この白だけが特別なのだ。

この白モデルはプロトタイプ的な位置付けもあるが、少量だけ限定モデルとして一般に売られることもある。
WEAPONやMonstroでは20万〜30万円、去年出たKOMODOでは10万円ほど値段が高かった。
中身は全く一緒でも、値段はプレミア価格。
それでもごく少量しか売れらないため、手に入る確率は低い。
だからこそ、どうしても欲しくなってしまうのが、このストームトルーパーの魅力である。

昔、ファッション狂だった頃は限定品に目がなかった。
ブランドのコラボ商品、数量限定の新アイテム、限定カラーのスニーカーなど、持っていることがステータスだった。
今のようにネットストアなどなかったので、手に入れるのは困難。
朝からお店に並んだり、店員さんと仲良くなって取り置きしてもらったり、人脈とコネで手に入れたり、色々な方法で洋服を買い漁っていた。

しかし、最初は人と差をつけるための限定品が、いつしか「情報」を買っていることに気づいた。
限定品を持っているだけで羨望の眼差しで見られることが、決してファッションセンスがあることには直結しない。
であれば、ブランドや限定品に頼らないファッションこそ、本物のセンスである、と。

今考えればただの散財だったが、良いこともあった。
無理してハイブランドや高級品を身につけたことで、モノの上流を知れたこと。
これは節約してファストファッションだけを身につけていたら、得られなかったことだと思う。
いいモノを知ることで、いいモノ選びができるセンスが身に付く、これに尽きる。

カメラに話を戻すと、REDを初めて買ったのは5年前。
当時、EOS 5D全盛期に節約して6Dを使っていたが、そろそろステップアップを考えており、次に買うカメラをある人に相談した。
候補としては、EOS 1D-Cやブラックマジックなど、身の丈にあったものなどだった。
しかし、その人からは「映像をやる人間がカメラにケチったら画がケチくさくなる」と言われ、REDを勧められた。
とてもポンと買えるような値段ではないため、さすがにひよったが、なんとかお金をかき集め、買うことにした。

しかし、このハイソでワガママなじゃじゃ馬は、たまの撮影だけでは全くシンクロできず、親睦を深めるために幾度と一緒に旅に出た。
男女でも旅をするとその人の本質がよく見えると言うが、カメラもまた同じ。
重い、デカい、目立つの三拍子で、iPhoneや一眼レフならどんだけ楽なんだろうと思いながらも、必死に乗ってやろうと試行錯誤した。
だからこそ、たまに乗りこなせた時の感動はひとしおで、いつしか無理してでもこのじゃじゃ馬を連れて歩きたくなっていた。

当時はこの言葉の意味はなんとなくしかわかっていなかったが、5年経った今では少しわかってきた。
洋服同様、上流を知ることは、選択肢が増えるということ。
と、同時に使えば使うほどシンクロして、センスの向上に昇華していくということなんだと思う。

そしてREDもついに第三世代へ。
帝国に従順なクローンとは裏腹に、またこのじゃじゃ馬に振り回されると思うと、なぜかワクワクする。
この胸騒ぎは、最高の体験への導きか、ダークサイドへの手招きか。
新しいじゃじゃ馬との旅は、まだ始まったばかりだ。

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